本校専任教員 理学療法士 田中 千恵先生が、去る5月18・19日にハワイ・ホノルルで開催された『障害とその多様性の環太平洋国際会議』に参加し、ポスター発表を行いました。
『障害とその多様性の環太平洋国際会議』とは?
Pacific Rim International Conference on Disability & Diversity(障害とその多様性の環太平洋国際会議)通称:Pac Rimは、各国の障がい者や家族、支援者が取り組んだプログラム事例や経験を、口述発表やポスター発表などによって広く参加者に伝え、各地域での問題解決や新たな取り組みという相乗効果を生み出そうと言う目的で、約30年前からスタートしました。
国際会議と聞くと、学者や教授が自分の論文発表をしたり、粛々と質疑応答が行われているイメージが強いものですが、田中先生が参加したPac Rimはそのようなイメージとは違う会議でした。まず会場内には電動車イスで移動する方々、白杖を使う視覚障がい者の方々などがとても多く、また障がい者自身が研究者であり、発表者なのです。したがって発表されるテーマの当事者である障がい者の方々から、より具体的で直接的な質問が発表中に飛び交うなど、日本の会議や発表会とは大きく異なる会議でした。
田中先生はポスター発表を行いました。ポスター発表(ポスターセッション)については、2014年6月25日のWFOT大会のブログ記事でもご紹介しましたが、各グループが研究内容をポスターにして掲示し、その場で参加者に研究発表することです。発表、質疑応答も全て英語で対応します。
また先生自身も口述発表やドキュメンタリー映画等を見聞きして、現在取り組んでいる研究、仕事に対する新たな視点や改善すべき課題などを得られたとの事でした。田中先生は本校で小児分野の授業を担当していますが、会議では自閉症スペクトラム障がいや知的障がい者に関する発表が多かったとの事でした。先生は発表を聞いて、海外においてこれからの障がい者に対する支援が、「制度による支援からコミュニティー(地域)での支援」にシフトしていくであろうという考察が、今後の日本も同様であると考えました。本校より発行『Y's Press12月号』でも林副校長が、高齢者や障がい者の地域支援の在り方についてお話しています。
田中先生は先日、筑波大学大学院課程を修了し、修士号を取得されました。理学療法士、先生、そしてご家庭と、忙しい中でも、学ぶ姿勢を持ち続ける田中先生。先生の歩みを支えるのは、「患者様の為に、私はまだできることがあるはず」と言う想い。横リハ生の皆も、「勉強は正直大変、だけど楽しい!」と口を揃えて言います。セラピストになる第1歩は、「患者様のためにもっと学びたい!ずっと学びたい!」という気持ちを持つことなのかもしれません。